まぁ、私は2度目なので初めてではないのだが。
「おい、聞いてたのかよ、紅」
先生の一応初めての実戦授業の説明を聞いていなかったことがバレたようで隣にいた武ータケルーが怪訝そうに私に声をかけてきた。
この男、冬麻 武ートウマ タケルーはうちの葉月家と肩を並べる名家の一つ、冬麻家の長男だ。つまり私と同じ次期当主。共に名家の次期当主であり、年も一緒なので、物心ついた時から付き合いがあり、いわゆる幼なじみ。
武もまた顔が整っており、青みがかった深い黒の髪はいつも無造作にセットされていた。…多分セットだと思う。寝癖って言ったら怒られる。
切れ長の瞳はいつも機嫌が悪そうに見えるがこう見えて武はよく周りを見ており、面倒見がいい。
だから私は今彼から非難の視線を浴びているのだ。
「……聞いてたよ」
「わかりきった嘘つくんじゃねぇ」
武から目をそらしながら答えると大きなため息と共にその答えはばっさりと切られた。
「初めての実戦なんだぞ。ちゃんと聞いてねぇと無駄な怪我するだろーが」
ギロリとただでさえ目つきの悪い武の瞳が私を睨みつける。
慣れてない人はこれだけでかなり恐怖を感じるだろうが幼なじみゆえこの睨みにさほど恐怖は感じられなかった。
むしろ懐かしくて胸がぎゅーっと嬉しさと苦しさでいっぱいになる。



