へたくそなキスのままがいい



それは、仕事中も同じようなもので。



「……で、この時間まではランチタイムだから……って、ちょっと!」

「んー?」


メニュー表を見ながら説明していた私の腰に、廉の手がまわる。

ち、近いって……!


ふんわりと鼻腔をくすぐるシトラスの香りが、余計にさっきのキスのことまで思い出させてくる。



「廉、いま仕事中」

「うん、知ってる」


手を払ってもまた腰に絡みつけてくるものだから、もう私がなにを抵抗してもまるで無駄だった。


それに本人は、まったく悪びれる様子もない。