何千年もの時が流れ、時代は令和に変わった。

「ヤバい!遅れる!!」

上品なデザインのワンピースを着た桜鈴は人が行き交う通りを全力で走っていく。今日はお見合いの日なのだが、寝坊してしまったのだ。

「遅刻したら怒られるどころじゃ済まないって〜!!」

遅くまで起きているんじゃなかったと後悔するが遅い。昨日はなぜか、胸が高鳴って眠れなかったのだ。なぜかその高鳴りの中に切なさが隠れていることが不思議でたまらない。

ようやくお見合いをするホテルが見えてきた。桜鈴は息を切らしながらホテルのドアを開けた。

「申し訳ありません!!送れました!!」

そう言いながらホテルへ桜鈴は入り、その場でゼエハアと息を吐く。するとロビーの柔らかそうなソファに座っていた男性が「大丈夫ですか?」と声をかけた。

「だ、大丈夫でーーー」

顔を上げた桜鈴は目を見開く。相手の男性も目を見開いていた。まるで時が止まったかのような不思議な感覚が流れていく。