もう死ぬんだから、最後に一度だけ
精一杯愛し合ってみたい。
「ねぇ、健斗」
「ん?」
「抱いて」
「……はぁっ?!お前意味わかって言ってんの?!」
「わかってる。お願い。
もう最後かもしれないの」
「…後悔すんなよ?」
悔しかった、悔しかった。
もうここまでの自分が。
…わたしに押し寄せる痛みは、
甘くて、切なくて、苦くて。
涙が溢れた。
好きだと言われて、好きだと返す。
愛してると言われて、愛してると返す。
これがあと何回できるのか、考えるだけで辛かった。
精一杯愛し合った後は顔を見合わせて恥ずかしげに微笑みあった。
「愛してるよ。」
「…わたしがいなくなったら、わたしの通帳のお金でお葬式とかしてくれる?」
「…いなくならねぇよ」
「新しい姫と幸せになってくれる?」
「…俺の姫は一生お前だけだ」
叶わないけど、嬉しかった。
「好きだよ」
「あぁ」
「好きだよ」
「俺も。
愛してる」
その言葉だけで、充分だった。
