静寂が包む夜の森
黒い霧が充満するその中心に
アリアは、光り輝く剣を構え
目を閉じる
何かの気配を探るように
そして、ある1部の霧に
少し違和感のある波が生まれた瞬間
なんの躊躇いもなく剣を振り上げる
するとそこには、
漆黒の髪に同じ色の瞳をした
青年が立っていた
「、、、」
彼の首元ほんの数センチ手前で
ピタリと剣を止める
アリアは、完全なる勝利を確信した
肩の力が無意識に抜ける
だが、次の瞬間
「なっ、、、!」
確かにとらえていたはずの
青年が目の前から突如いなくなった
そして、背後に人の気配を
感じたかと思うと次の瞬間には
剣を叩き落とされ、足をとられて
身体が中に浮く
「くっ、、、」
瞬く間に背に地面の感触を感じ
目の前には青年の顔があった
「姫様、最後まで油断してはダメと
何度申し上げたことか」
「レイ、、、」
レイと呼ばれた青年はアリアに
覆いかぶさり、アリアの両手を
片手で地面にぬい止めていた
その表情からは何も読み取れない
「わかったから、どいて」
突然迫ったレイの顔を見ることが
出来ずに視線をさまよわせながら
レイに抗議するアリア
しかし、レイはどこうとしない
それどころか
「このような好機を無駄にするほど
私はバカではございません、姫様」
レイの瞳が獲物を捕らえた
肉食獣のように鋭くなった
「ちょっと、まっ、、、!」
何かを察したアリアは逃れようと
身をよじるが
「っ、、、!」
レイの顔がアリアの首元に埋まる
「やめっ、、、」
レイの舌が首筋を這う感触に
身体の力が抜けていく
そして、レイの足はアリアの足を
捕らえアリアの身体の自由は
ほぼ無いに等しい
「いやぁ、、、、、、あっ、、、!」
アリアがどんなに暴れても
レイに封じられた身体は言う事を
聞いてくれない
しばらくして、気が済んだのか
顔を上げたレイの瞳は
赤面して息を上げているアリアを
とらえた
「も、、、レイ、そろそろ怒るぞ」
両手を片手で拘束されて
足の自由も奪われてなお
強がるアリアに余計そそるものを
感じるがそんなことは一切
顔に出さずにいつもの無表情で
レイはこう言った
「こうなるのが嫌なのであれば
もう少し剣の使い方
上達なさいませ、姫様」