たまたま彼らのマネージャーである宗介さんが私を元気づけたいと思ってくれたことから始まったここでの暮らし。

だけど、世の中には、私より苦しい思いをしながらもエンプに元気をもらっている人たちもたくさんいて。

純粋に彼らを応援しているファンを差し置いて、たかが失恋をきっかけに、こんな待遇を受ける私って……どうなんだろう。

「どうしたの、純恋ちゃん」

すごく嬉しいのに、複雑な気持ちが入り混じって。

それがわかりやすく顔に出てしまっていたのか、宗介さんに声をかけられた。

「ライブとか、苦手、だった?」

と唯十くんが不安げに聞いてくる。だめだ。唯十くんにこんな顔させたいわけじゃないのに。

慌てて首を横に振って口を開く。

「違うの、夢みたいですっごくすっごく嬉しい。でも、知り合いの宗介さんがエンプのマネージャーだってだけで、こんな特別扱いしてもらっていいのかなって。他のエンプファンに申し訳なくて……」

と視線を落とすと、ふと優しく肩に手が置かれた。