なんとか無事にトイレに行くことができ、急いで部屋に戻ろうとした瞬間だった。
───ガシッ
っ?!
「き、きゃーーっ!?」
突然、何かに肩を掴まれて驚きのあまり声が出たけれど、そのまま口元を押さえられた。
なんだなんだと目を見開いて私の口を塞ぐ人物を確かめようとしたら。
「叫ぶな。俺」
目が暗闇に慣れてきて、グッと至近距離に見慣れた顔がうっすら見えた。
一気に身体の力が抜けると同時に、彼が私の口から手を離した。
「な、なんだ相良くんか……」
「夜中の2時だよ」
「うん……起こしちゃったかな。ごめんね。その、寝られなくて……」
私が物音を立てたせいで相良くんが起きてしまったのかと思うと申し訳ない。
明日も彼には仕事があるのに。
「はぁ、やっぱりな」
「えっ」
やっぱりって……。



