「丸山さんさ」
突然、相良くんの不満げな声に名前を呼ばれて視線を彼にうつす。
「な、なんでしょうか……」
「唯十の好物ばっかり作りすぎじゃない?」
「えっ?!いや、そんな!ま、まぁ、その、たまたま、と言いますか」
思わず目を逸らす。
むむ。バレてしまったか。
初めてみんなと食卓を囲んだ日、そしてそれから久しぶりにみんなが揃った今日。
どちらの日も、すぐに浮かんできたメニューは唯十くんが好きな食べ物だった。
唯十くんとゆっくりできる時間には、そりゃ彼の好物を作ってあげたい。
彼のファンだから、そう思うのは自然なことだと思うので、許して欲しい。
「そうだよ、雫久なに言い出すの。雫久もオムライス好きでしょ」
と何故か不機嫌な雫久くんをなだめるのは唯十くん。
「っ、別に……」
あの唯十くんが優しく声をかけてくれてるって言うのに。
相良くんったらなんて態度だ。



