「別に俺に謝ることじゃないけど。自分の身は自分で守ってよってこと。自分が女だって自覚ちゃんともって」
「うん。ありがとう。……あ、あの、お詫びと言ってはなんですが、相良くん、デザート食べる?」
我ながらなんてタイミングだとは思ったけど。
「はぁ?……丸山さんってほんと、能天気っていうかお気楽って言うか」
「相良くん、糖分足りないから少しイライラしているのかと」
「お前な……」
「あれ、相良くん、甘いもの苦手?」
わかってる。
相良くんが私に言ってくれたことが、私をちゃんと思ってくれて出た言葉だってこと。
でも、そう思うと少し胸がキュンってして。
そんな言葉をかけられたのは、はじめてだったから。
幼なじみの翔にとって、私はずっと、女の子じゃなくて、ただの幼なじみだった。
だから、相良くんに、ちゃんと女の子扱いしてもらったことが無性に嬉しくて。ちょっと照れくさくて。
そんな気持ちをはぐらかすように。
「甘いのは……好きだけど」
素直すぎる返事に思わず笑みが溢れた。



