まだドキドキしている。
ドラマや映画でしか見たことない光景がすぐ目の前にあって。
すごかった。プロの俳優さん。
「バカ……」
「えっ」
上から降ってきた呆れた声に顔を上げる。
あ、一瞬、相良くんがここにいたことを忘れかけていた。
さっきの衝撃がまだ……。
「丸山さんってほんと危機管理能力ゼロだよね」
「へ……き、危機管理?」
「脱衣所の鍵閉め忘れたり。今みたいな状況もそうだけど。もっと男に囲まれて生活してる自覚、持った方がいいんじゃない」
「……えっと」
これは私、相良くんに叱られていますか?
男に囲まれてるって……そんなの……。
「危ないのは曜くんだけじゃないってこと。襲われたいならまだしも」
「……っ」
な、何を言っているんだろう。
曜さんは少々人との距離が近い気がするけれど、あのチャラさはきっと全人類に対してそうで。
そして、唯十くんも麻飛くんも相良くんも、芸能人で、その分綺麗な子たちをたくさん見ているだろうから、私みたいな平凡すぎる人間を襲うとか、考えられないんだけど。



