静かに私の話に耳を傾けてくれるみんなに甘えて私は全てを話し終えた。
「……って、ことがありまして。だから宗介さん、私にこんな夢見たいな機会を……」
「そうだったんだ……辛かったね、純恋ちゃん」
唯十くんが眉尻を下げて優しくそう言ってくれる。
曜さんもうんうんと頷きながら腕を組んで「なるほどねー」と呟いてから、
「でも前に進もうって思ってここで働くの引き受けたの、偉いじゃん」と褒めてくれた。
麻飛くんは「純恋ちゃんのこと振るなんてもったいないわ!その幼なじみくん!」なんて励ましてくれて。
終始、相良くんだけは何も言わず目も合わなかったから気になるけれど。
そんな心配を打ち消すようにふたたび唯十くんが口を開いた。
「純恋ちゃんが少しでも元気になってくれるなら、俺にできることならなんでもするから。遠慮なく言ってね」
「唯十くん……」
こんなに完璧な人、この世にいるんだろうか。
推しに慰めてもらえるなんて。
失恋も悪くないんじゃないかと思ってしまう。



