口に合わなかったかな……。
好き嫌いないとは言っていたんだけど。
「あの、相良く──」
「……うまい」
不安になって声をかけようとしたら、つぶやくような声がした。
えっ……相良くん、今……うまいって言った?
「ほ、ほんと?」
「ん」
よかった……。
正直、相良くんが一番心配だったから。
ホッとしながらふたたび他のみんなに目を向ける。
「これから一ヶ月はずっとこんな美味しいもの食べられるんだと思うと、俺仕事まじ頑張れるわ!」
と麻飛くんがカレーをかき込む。
嬉しい。作ったものをこんな美味しそうに食べてもらえるなんて。
安心したのと同時に、目頭が熱くなってしまう。
翔に振られてから、自暴自棄になることもあって。
こんな私なんか誰にも必要とされないんじゃないかって。
ズタズタに引き裂かれていた私の心に、みんなの言葉が染みる。
私にも、少しは取り柄があるのかな……。
料理しててよかった、なんて。



