え。
これって……。
恐る恐る声のした方に顔を向ければ、「ね!」と眩しい笑顔がこちらに向いた。
う、嘘でしょ。
「ふはっ、純恋ちゃん顔真っ赤〜」
「なっ!」
推しに見られている、その事実に死んじゃいそうなほど心臓がうるさい私をよそに、楽しそうに笑ったままの唯十くん。
そんな彼が突然手を伸ばしたかと思えば、その手のひらがヒタッと私の頬に触れた。
……ちょっと、待ってよ。
頭が全然追いつかない。
「ゆ、ゆ、ゆ、いと、くん、あの」
「ん?」
パニックでまともに話せなくなっている私を見て楽しそうに首を傾げる唯十くん。
なんてこった。
確かに、唯十くんはライブの時のファンサービスも凄すぎるって有名だけれど、こんなの、ファンサービスの域を超えている。
「唯十、そんなことしたら純恋ちゃんまた倒れるぞ?」
私たちのやりとりを見ていた麻飛くんがそう言う。
本当だよ、また倒れちゃう。



