「あの日倒れちゃったし、もう来てくれないんじゃないかと思ってたから嬉しいよ。俺のことは曜でいいから。改めてよろしくね」
「は、はいっ。よろしくお願いします」
優しいその微笑みは、ドラマで見たまんまで、本物だ……と心の中でつぶやく。
「てか、今日制服じゃないんだね〜純恋ちゃん」
「曜くん」
私をジッと見ながら言った曜さんの声に被せるように相良くんが彼の名前を呼んだ。
ギラッと曜さんを睨みながら。
「いや、雫久の顔怖すぎー。冗談じゃん。半分本気だけど」
「曜くん、そんなんだといつか週刊誌に──」
「あーもう、わかったから。雫久、ほんと厳しいよなー。学校のセンセーみたい」
ね?と曜さんが私に話を降ってきたけど、苦笑いするしかできない。
「逆に雫久、大丈夫なの?同い年のこんなかわいこちゃんが同じ屋根の下に住んで。多感な時期じゃん。純恋ちゃんのこと、襲わないでよ?」
曜さんにサラッとかわいこちゃん、と言われたことにびっくりしたけれど、
多分彼は、ほとんどの女の人にこんな態度なんだろうなと言うのは今話した間でなんとなくわかってきた。



