「随分と不安そうで」

「当たり前だよ!カードで買い物したことなんてないもんっ。大スターの相良くんは慣れているんでしょうけど」

「いや別に俺だって使ったことないけど。ただ、宗介さんとか曜くんが使うの見てるから」

「はあ、そうなんですか……」

なんだ。

『随分と不安そう』っていうから、

てっきりカードでの買い物ができないことをちょっとバカにされてるんだと思ってたけど、そういうことではないのかな。

「俺もついて行く」

「へっ?!」

相良くんの言葉に思わず大きな声で反応してしまった。

だって……。

「急に大きい声出すなよ……」

「えぇ、だって相良雫久がスーパーって……」

相良くんがスーパーになんかいるのがバレたら店内は大混乱間違いなしなんですが。

「俺のことなんだと思ってんの。普通に行くけど。ていうか丸山さんだってここら辺の道よく知らないでしょう」

「いや、けど、バレちゃったら」

「安心して。俺外でバレたことないから」

「えーー」

ここで初めて会った時、その眩しい有名人オーラに失明しかけたのですが。

それから私は、黒縁メガネとマスクで顔を隠した相良くんとシェアハウスを出てスーパーへと向かった。