「俺の人生であの日丸山さんに出会ったことは、いちばん大きな出来事で。なのに、丸山さんは俺のことなんて忘れてて、唯十の大ファンになってて……嫉妬してた」

嫉妬……。
好きな人にそんなことを言われて、嬉しくない人がいるだろうか。

相良くんには申し訳ないけど、にやけそうな口元を必死で教える。

いつも基本的にクールな相良くんだから、そんな彼が嫉妬って言葉を口にするなんて。

私だって、女優さんとお芝居している相良くんや、ライブでたくさんの綺麗な子たちに囲まれている相良くんを見て嫉妬したけど。

同じ気持ちに少しでも相良くんもなってくれたのかなって思うと嬉しくて……。

「丸山さんと過ごすうちに、どんどん気持ち大きくなっていって……」

相良くんの言葉に、トクトクと心臓の音が速くなる。

「酔ってあんなことして、嫌われたと思って。でも嫌われたくなくて。だから、忘れてほしいなんて言ったけど……」

「……っ」

相良くんの手が伸びてきて、私の手を握る。