宙にちなんだ素敵すぎる開幕の演出に、全身鳥肌が立った。

照明の入り方も、音響も、スクリーンの映像も、何もかもが緻密。

ものすごく丁寧で綺麗で。
迫力、というよりもその繊細さに息を呑んだ。

オープンニングの後、それ宙のメンバーが登場して、そのまま代表曲を披露する。

ステージの真ん中に立ってギターを持ち、スタンドマイクに手を添える彼───相良くん。

普段シェアハウスで見ていたときより何十倍も大人びていて輝いていて。

彼が歌い出した瞬間、一気に会場に風が吹いたような感覚に、心が震える。

すごい……相良くん、すごいよ。

さっきまで弱って見えていたのに。
さすが……これがプロなんだ。

ちゃんと届く。胸に入り込んでくる。
空っぽなんかじゃない。

というか、今まで聞いてきた相良くんのどの歌声よりも今日が一番な気がする。

歌唱力や表現力は圧巻。
会場全体が、相良くんの歌声とメンバーの奏でる音に包まれる。