なんとか無事に会場に着いて。

宗介さん、唯十くんと共に急いで大きなライブ会場の関係者入り口から相良くんたちのいる控室へと急ぐ。

会うのが気まずいとか、そんなこと言ってられない。

相良くんの一大事なんだから。

「こちらです」

スタッフに案内してもらった一室の扉には〈それは宙にのぼる 相良雫久 〉と記入された用紙が貼られていた。

ゴクリと喉が鳴って。

コンコンッとノックして先にドアを開けたのは、唯十くん。

「……はっ、唯十?!何しに……」

「純恋ちゃん、入って」

なかなか部屋に入る勇気が出ないでいると、唯十くんに名前を呼ばれて、一気に緊張する。

そんな私を見て、宗介さんが優しく肩に手を置いてくれて。

「大丈夫」

と声をかけてくれたから。

私は深呼吸をして控え室に足を踏み入れた。