「彼女っていうのは、つまり……」

「恋人になるってこと」

「え、な、ななななんで!?」

唯十くんの衝撃的発言にのけぞってしまう。

いくら冗談でも、言っていいことと悪いことがあるよ、唯十くん……。

「さっき話した通りだよ。純恋ちゃんは俺にとって特別な存在だから。これからは一番近くで俺のことを見ててほしいって思う」

「な、そんなっ」

あまりにもまっすぐな瞳で言うから、冗談じゃないのかもしれない、と思う。

「純恋ちゃん、俺のこと好きだって言ってくれていたよね?」

「っ、それは……」

唯十くんのことは大好きだ。
でもそれはアイドルとして。

恋愛感情なんて……。

「俺も、純恋ちゃんのことが好き。ほら、俺たち今、両想いだよ」

推しと『両想い』そんな世界線があっていいのだろうか。

ありえない。

でも、ギュッと握られた手は温かくて、唯十くんの温もりを感じる。

現実に、起こっているんだ。