ライブの準備があるのは本当かもしれないけど、私と会いたくないから帰ってこないんじゃなかって思うから。

相良くんと気まずいままでさようならしてしまうなんて。

最後ぐらい、会いたかったっていうのが本音だけど、どんな顔をして話したらいいかもわかんないから。

「落ち着いたら、また呼ぶから!絶対!送別会ぐらいちゃんとやりたい!」

と麻飛くんの明るい声に救われる。

「ありがとうございます!その言葉で十分すぎます!」

なんだかしんみりした空気になってきて目頭が熱くなっていると、玄関の扉が開いて宗介さんが顔を出す。

「純恋ちゃん、ごめんね!そろそろいいかな?僕もまだ仕事が残ってて。もう出なくちゃ」

「あ、はい!すみませんっ」

私のキャリーケースを宗介さんが引いてくれて、私はボストンバッグを肩にかけ直して。

「皆さん、本当にありがとうございました!」

再度、みんなに頭を下げてドアに手をかけた。