「自分で思い出してください……」
自分の口から説明するのは恥ずかしすぎてそう言うと、相良くんが顎に指を添えて考えるポーズをした。
「え……昨日は仕事から帰ってきて……喉乾いてたから……」
「それっ。相良くん昨日、間違えて曜さんのお酒飲んじゃったんだよ、それで……」
「は?そんなわけっ」
「本当だよっ!それで……」
なんて口走ってしまったけど、あれを私から説明するなんてできるわけない、と思っていたら、
相良くんの表情がだんだん不安げになっていって。
「ちょ、ちょっと待って」
そう言って私に手のひらを見せてストップの合図をした相良くんの顔がみるみるうちに赤くなる。
もしかして……思い出した?
それはそれで困るというかこっちも恥ずかしくなってしまうんだけど!
「ごめん」
「へっ……」
「マジでごめん。全部忘れて。どうかしてたから本当」
『忘れて』
そう言われて胸が苦しくなってしまった。
なんで苦しいんだろうか。



