「……なるほどねーー。雫久、そんなこと言ってたんだ」
「はい。だから、私のこの気持ちを知ったら嫌がるんじゃないかって」
「いや、それは違うよ、純恋ちゃん。雫久がそんなこと言ったのにはね、……その、理由があるんだ」
え、理由?
なんでその理由を曜さんが知っているんだろうと疑問に思う。
曜さんは、ちょっと言いにくそうにしながら「実は……」と口を開いた。
───それは、私がシェアハウスに来る前の話。
2年前。
当時、唯十くんが、あるひとりの熱狂的なファンの過激なストーカー行為に悩まされていたらしく。
唯十くんを待ち伏せしたり、後をつけたり。
彼女が接触しようとしてくるたびに、スタッフや唯十くん本人は注意していて。
事務所側も、いつ警察に相談しようかと、そんな話にまでなっていたけれど、
唯十くんは大ごとにして他のファンの人たちに嫌な思いをさせたくない、自分は大丈夫だからと周りに話していたらしい。
そんなある日。
「……ここにも来てさ」
曜さんのそのセリフに鳥肌が立った。



