「今寝た」
「……よかったです。ありがとうございました」
あの後、なんとかギリギリ間に合った相良くんは、吐き疲れてそのまま眠ったらしい。
私にあんな素早い介抱はできなかったので、曜さんが帰ってきてくれて本当によかった。
「ごめんね、純恋ちゃん」
「いえ……」
曜さんは助けてくれたのに、なにを謝るって言うんだ。
「でも、雫久のこと嫌わないであげてほしい」
「えっ……嫌うなんてそんな!」
びっくりはしたけど、あれで相良くんを嫌いになったとか全然ない。
むしろ……。
「ちょっとドキドキした?」
っ?!
まるで私の心が読めたみたいにニヤリと笑った曜さんに言われて、たちまち顔が熱くなる。
「そ、それは……」
「雫久、ベッドに運んだとき、純恋ちゃんの名前呼んでた」
「え……」
「『行かないで、丸山さん』って。俺のこと純恋ちゃんと思ったみたいで袖握ってきたよ」
そんな……本当にそんなことを、相良くんが?



