「ちょ、相良くんっ」
「いらないから、行かないで」
行かないでって……。
酔っ払いのそんなセリフにドキッっとしてしまったことが悔しい。
「っ、相良くん、離して。すぐ戻ってくるから」
「あーもう、うるさいっ」
「なっ!?」
なぜかご機嫌斜めになった相良くんに、強く手を引かれてしまい、その拍子で体がソファに埋もれる。
目の前には、ソファに手をついて私に覆いかぶさる相良くん。
突然のことすぎて頭が一気に真っ白になるけど、心臓はバクバクとうるさくて。
「ちょ、相良くんっ」
トロンとした目でジッとこちらを見つめる相良くんが口を開く。
「……相良、相良って、なんで俺だけずっと苗字なの」
「……へっ?」
「3人のことは下の名前で呼んでいるのに」
そんなこと、相良くんから聞かれるなんて想像もしていなかったからびっくりしてしまう。
言われてみれば、相良くんだけずっと苗字だけど、それは……。



