「さ、純恋ちゃん上がって」

「あ、はい」

玄関横にあったスリッパを出してくれた宗介さんにペコっと頭を下げてから、

彼と同じように家の中へと進んでいくと、何やら賑やかな声が聞こえてきて。

私の緊張はMAX。

ふぅーと小さく深呼吸しながら宗介さんの後ろについて歩いていると、広々としたリビングに着いた。

ひとつの人影が見えて、思わず宗介さんの大きな背中に隠れる。

「はーい、みんな集合」

「わ、宗ちゃん!来てるなら『ただいま』ぐらい言って〜心臓に悪い」

「なんだ?見られたらまずいことでもしてるのか?」

「そうじゃないけど!」

宗介さんが誰かと話している。
男の子だ。

年はいくつぐらいなんだろう。

どうしよう。
思わず後ろに隠れてしまったせいで顔を出すタイミングを見失う。

「全員集めて話したいことって?俺たちこのあとすぐ打ち合わせだよね?」

この声……。

さらに別の男の人の声がして、その声にはすごく聞き覚えたがあった。

男の人にしては少し高い、優しい声。