「ち、違っ!!わ、私は相良くんにそそのかされて!!」
「往生際が悪いぞ。これぐらい黙ってたらバレないって」
「そんな……やだ、どうしよう……悪いことはいつかバレるの絶対!そしたら私、出禁だよ……クビだよ!」
欲望に負けた自分が悪いのは重々承知だけど、食べた後の罪悪感が私を襲う。
「ぷっ……冗談だよ」
落ち込んでいると、そんな声が耳に届いた。
「へ……何が。どこからどこが」
「これ、俺が個人的に買ったものだから。まあ別に、おやつの一つや二つ買ったところで会社に怒られないけどな」
相良くんがそう言ってポケットから出したのは短いレシート。
そこにはプリン2個だけが購入されているのが記載されていて。
ていうことは……。
「葛藤してる丸山さんおもしろくて、ちょっとからかった」
「えっ?!」
ってことは全部嘘?!
「ひどい!」
「でも、美味しかったんでしょ?」
「それは……うん」
「ハハッ。素直」
「んもう」
そうため息をつくけど、相良くんの新しい一面が見れた気がしてなんだか嬉しくて。
「糖分チャージできたし、パパッとご飯の準備するよ!」
「ん。ご指導のほどよろしくお願いします。丸山センセ」
こんなに冗談を言う相良くんはやっぱり珍しくて、いつもより距離が近い気がしてドキドキして。
私はあまり意識をしないようにと、料理に取り掛かった。



