視線を下げて、今度は彼の指に目を向ける。
この間、ギターの弾き方を教えてもらったとき、この指が私に触れた。
前はなんとも思わなかった1つ1つの相良くんの仕草がいちいち気になって。
『行くの、あいつらのとこ』
相良くんは、なんでそんなことを聞いて私の手を握ったんだろう。
ゆっくりと自分の手を彼の手に伸ばして、問いかけるようにその長くて細い綺麗な指にわずかに触れると。
っ!?
人差し指をギュッと握られた。
相良くんが起きたのかとびっくりして顔を上げても、変わらない表情で寝ていて。
勝手に触れていることがバレていなくてホッとしながらも、
触れ合ってる指先から熱が伝わっていくみたいに、胸のドキドキが止まらない。
心臓がうるさくてしょうがないのに、心地よくて。
まだもう少しこの秘密の時間を味わっていたいと思った。



