「……まぁ、保健体育ぐらいなら教えられるかもだけど?」
「えっ……?!」
突然、耳元で甘く囁くように言われて、背筋がゾクっとした。
慌てて吐息が触れた耳を手で押さえる。
な、なに今の……!!
「ふはっ。冗談だよ。未成年には手を出しませ〜ん!純恋ちゃんが20歳になったらわかんないけど」
曜さんはそう言って私の頭を軽くわしゃわしゃっと撫でてキッチンに向かって冷蔵庫を開けた。
「あ、雫久なら教えてくれるんじゃないかな?」
ミネラルウォータを飲んだ曜さんがこっちを見てそう言う。
「え、相良くんですか?」
「うん。雫久、結構成績良いみたいだし。前に麻飛がわからない問題があるって雫久に泣きついてたときもしっかり答えられていたし。麻飛の方が年上なのにおかしいよね〜」
「えぇ……すごい……」
音楽の才能もあんなにあるのに勉強もできちゃうなんて。しかも顔面はあんなに綺麗ときたもんだ。
天は相良くんに二物以上を与えすぎだよ……。
「雫久と予定合う日にでも勉強会したら?向こうも宿題終わっていないだろうし」
「い、いいんでしょうか」
「なんで。純恋ちゃんにお願いされたら大喜びでしょう」
ええ……そ、そうかな。
今度こそ、呆れられそうだけれど……。
「それじゃ、一応、聞いてみますっ」
曜さんにそう返事して、私は相良くんに相談することにした。



