「ううんっ、謝らないで!全然!子守唄みたいで、相良くんの歌声のおかけで余計によく寝られたの。だから、ありがとう……」

「子守唄って……座ったら?」

「あ、うんっ」

促されて、ローテーブルを挟んだ向かいに腰を下ろす。

「相良くんはいつからギター弾いてるの?」

「小4」

「うわ……すごい……」

「話し相手がギターしかいなかっただけだよ」

「え……」

小さくつぶやいた私の声は、相良くんが弾いたギターの音にかき消された。

どういうことだろう……話し相手がギターだけって……。

相良くんのセリフの意味を考えていると、聞き覚えのある優しいメロディーが耳に届いた。

え。
これって……。

相良くんが声を乗せた瞬間、確信へと変わる。

私がこの間、友達と見た映画の主題歌だ。

ど、どうしよう!!
本人が目の前で歌ってくれているなんて!

はじめてちゃんと、相良くんが弾いて歌っている姿を見た。

ここに来て、エンプのことや唯十くんのことでずっと頭いっぱいだったけど。

ガシッと心臓を掴まれたような感覚になって、相良くんから目を逸らせなくなる。