まずは、この手をどうにかしなきゃ。
相良くん、自分が私の手を握っていること,気付いていないみたい。
「それと……相良くん」
「ん?」
「その……手が……」
「え?……あっ、ごめんっ!!これはっ」
と慌てて手を離した相良くんが珍しくあからさまに動揺していて。
その顔がだんだん赤くなっていっているような気がする。
なぜかこちらまで恥ずかしい気持ちになってしまって。
思わず起き上がって口を開く。
「だ、大丈夫!私も寝ぼけてよく自分の指やきとりかと思って食べたことあるし!」
我ながらなんちゅうフォローの仕方だと呆れてしまうけど、
「ほんとごめん」
私の手を握ったことが相当ショックだったのか何度も謝られる。
「そんな謝ることじゃないから!看病してくれて、本当にありがとうっ」
「……ん」
ちょっぴり気まずい空気が漂ってしまったのをなんとかしたくて、
何か他に話題をと考えながら目をキョロキョロさせいていると、相良くんの座っている横に、鍋が置かれていた。
「相良くん、これって……」
と指さす。