〈純恋side〉
『みーちゃん!そんなに走ったら──』
「んっ……」
カイトくん……。
懐かしい声に懐かしいあだ名で呼ばれた夢を見て、目を覚ます。
左手に温かい感触がして、横になったまま視線を動かすと。
……え。
そこには私の手を握ったままベットに上半身だけ預けて寝ている相良くんの姿が見えた。
えっと……これは、夢?
あの相良くんがどうして私の手を握っているのか。
寝ぼけて……だよね?
額に冷たい感謝がして手を置けば濡れタオルがあって。
ベット横のサイドテーブルには、洗面器とストローの刺さったスポーツドリンクが見えた。
相良くん……仕事もあるはずなのに、付きっきりで私のこと見てくれていたんだ。
相良くんの看病のおかげか頭の痛さや体のだるさはだいぶなくなっている気がする。
ありがたすぎる……。
こんなに迷惑かけちゃって……。
それにしても……綺麗な寝顔だな。
ちょっと幼くも見えて。
なんてじっと見つめていたら、
「……んっ」
と寝ていた相良くんが声を漏らして同時に彼の瞼がわずかに動いた。



