あれから10年以上が経って。
こんな形で再会するなんて。
だいたい、純恋という名前であだ名がみーちゃんなのも珍しいと思うし……。
普通、すーちゃんとかすみちゃんとか……。
だから、ここで名前を聞いた瞬間は気付けなかった。
でも、俺の中にはずっと彼女がいて。
でも、その彼女にとって、きっと俺との思い出なんて大したものじゃなくて。
だから、鮮明には覚えていないんだろうし、幼なじみに恋をしたんだろう。
いや、俺に会う前から幼なじみ一筋だったのかもしれない。
なのに俺は……。
目の前で寝息を立てている彼女をじっと見つめて。
「本当に覚えてないの……一緒に歌ったこと」
小さくそう呟いて、布団から出ていた彼女の手を優しく握った。



