みーちゃんは、明るくて元気な子な分、ものすごく好奇心旺盛なところがあって。
一緒にいるとヒヤヒヤすることも多かった。
『みーちゃん、危ないよっ』
『大丈夫だって。カイトくんも登ろう!』
そう言ってうんと高い木に登ったり。
砂浜を猛ダッシュして盛大に転んだかと思えば、手に取った貝殻を俺に差し出して、
『綺麗な貝殻発見!カイトくんにあげる!』
と全身砂まみれのまま満面の笑みを向けてくれたり。
パワーの塊みたいなみーちゃんは、当時の俺にとってはじめて出会ったタイプの、刺激的な子だった。
そして、田舎での時間も残りわずかになった時、ふたりで歌を歌いながら浜辺を歩いていると、キラキラ目を輝かせた彼女が口を開いて。
『カイトくんって歌すっごく上手だね!』
『別に普通だよ……』
『ううん。普通じゃないよ!大人になったらぜったい歌うお仕事した方がいい!それで、カイトくんのファン第一号は私っ!』
『ファンって……』
そう言って笑ったけれど。
内心すごく嬉しくて。
それから、俺は本気で歌手を目指すようになったんだ。



