「純恋ちゃんも、レモン食べて」

「……っ」

レモンって……今、唯十くんが食べたイエローカラーのマカロンで。確かにあと半分残っているけれど。

これを食べちゃったら……。

さっき、麻飛くんに言われたフレーズが頭に浮かぶ。

唯十くんと『間接キス』とやらに……。

いや、麻飛くんも気にしてなかったし、私が深く考えすぎなだけなのかもしれない。

そう自分に言い聞かせて、半分残ったマカロンを口に運ぶと。

ふんわりレモンの爽やかな香りが鼻に抜けて。優しいクリームの甘さが口いっぱいに広がる。

「んんー!レモンも美味──」

「間接キスだね」

「っ?!」

楽しそうに呟いた唯十くんのセリフに、マカロンが喉に詰まりそうになった。

な、なんてこと言い出すんだ!!
せっかく考えないようにしていたのにっ!!

おさまっていたはずなのに、また身体の体温が上昇して。

自分でも顔中真っ赤なのがわかる。

「唯十くん、そういうことあんまり言わないで……」

「純恋ちゃんが、かわいい顔ばっかりしちゃうのが悪いよ」

なっ。

私の頭にポンっと手を置いた唯十くんが、

「あんまり煽んないでね」

そう言って部屋を出て行った。