「実は、この間のライブ、始まる前にちょこっと純恋ちゃんの話をメンバーのみんなにしたんだ」
「えっ?!」
「あ、軽くだよ!事細かには話してない!けど、失恋して落ち込んでる友達が見にきてるって」
と私の顔を伺うように唯十くんが言う。
唯十くんがそんな申し訳なさそうな目をする必要は全然ないのに!
「や!その、まさか私みたいなのの話をメンバーのみなさんにしてくれたなんてびっくりで……!」
しかも唯十くん、今私のことサラッと友達って……。
推しから友達認定されてしまう日が来るなんて。
頭の中パンクしそうだけど、そんな私におかまいなしに唯十くんは続ける。
「よかった。……それで、純恋ちゃんを元気にさせたいって言うのはもちろん,他にもいろんな大変なこと頑張ってたり耐えてるなか来てくれてるファンのみんなにも届けたいねって、メンバーの意識高まってさ。あの日のライブは、純恋ちゃんのおかけで良くなったなあって。だからお礼」
「えぇ?!お礼って、私は何も!!」
そんなことでお礼を言われるなんて思っても見なかったから驚きで軽くのけぞってしまう。
しかも、私の話をきっかけにそんな話ができて一つになれるエンプはやっぱり素敵なグループだと改めて実感して。



