「ど、どうぞ」
そう言って唯十くんを部屋に案内すると。
「そんなにかしこまらないで。座って」
と唯十がフワッと笑っていうから、言われた通りベッドにちょこんと座った。
部屋で唯十くんとふたりきりなんて。
息が止まってしまいそう。
「雫久にバレたらまた怒られそうだからさ」
え?
怒られる?
意味深な彼のセリフに首を傾げると、またキラキラした笑顔を向けてくれた。
自然と私の口元も緩んでいると、唯十くんが背中に回していた右手をこちらに出した。
「これ、純恋ちゃんに渡したくて」
へっ……。
唯十くんが私に差し出したのは、エンプのCDアルバムで。
もちろん私も持っているもの、だけど……。
なんとそのCDにはエンプのメンバー全員のサインが書いてあるではありませんか!
しかも『純恋ちゃんへ』と私の名前入り。
驚きすぎて言葉が出ないまま、目線を上げて唯十くんを見る。



