なぜか驚いたように目を見開いてこっちを見ていた相良くんと、バチッと視線が絡んだ。
「相良くんの、消えてる!」
「え……あっ……」
「お!雫久がお皿洗い決定だな!」
「よろしく〜!」
と曜さんと麻飛くんが嬉しそうに相良くんの肩をバシバシと叩くけど。
相良くんはなんだが目を泳がせていて動揺しているみたい。
さっきも、どうして私のことを見て驚いた顔をしていたのか不思議で。
「雫久、どうした?」
彼の違和感に気付いた唯十くんが優しく声をかける。
「いや、別に……」
「あまりのショックに言葉を失ったか!」
なんて麻飛くんがさらに笑う。
本当にお皿洗いがイヤで様子がおかしいんだろうか……。
と、見つめていたら、私と目を合わせないまま相良くんが口を開いた。
「……花火以外に、覚えてることないの」
「えっ」
「その男の子との思い出」
相良くんがさっきの私の話に食いついたのが意外で一瞬固まってしまう。
「えっと……うん……花火したことしか覚えていないかな……」
「そう」
「どうして?」
「いや、なんでもない」
と相良くんが小さくつぶやいたタイミングで、唯十くん、麻飛くん、私の順番で花火の火が消えて。
灯り続けている花火を持って、曜さんが「よっしゃー!」と叫んだ。
相良くん……どうしてあんなこと聞いたんだろう。



