「ていうか、丸山さんが好きなのはエンプで、唯十、でしょ。全員に、簡単に好きとかそういう言い方するのはどうかと思うけど」
「え、そこ?細かいねぇ、雫久。照れてるんだね〜。俺は素直に嬉しいけどなあ」
と曜さん。
やっぱり怒られてしまうのか……。
でも……。
「……本当に好きだよ!相良くんのことも!」
相変わらず彼の沸点はわからないけど。
それでも、はじめのころ曜さんが言ってくれたみたいに、相良くんが本当はすごく優しいことも知ってるから。
エンプのライブで私の腰が抜けたとき、あの時の相良くんの温かかった背中を今もしっかり覚えているから。
まっすぐ彼の瞳を見ていたら、
「……ほんと、バカ」
とため息混じりでそう言った彼が私から目を逸らした。
え……。
今、耳の先が赤くなったように見えたけど……。
気のせい、かな。



