「あ、ごめんなさいっ、そのっ」
言ってしまってから、気を遣わせてしまうかもととっさに謝ると、
「なんで謝るの。俺から聞いたんだし」
と唯十くんが優しく笑った。
「楽しかった?」
「え、あ、はい。振られる前だったので。楽しかったです。ずっと毎年ふたりで行ってたんですけど、今思うと、あれが最後だったんだな……」
なんて一瞬、浸ってしまったけれど。
今、自分の気持ちが少し変わっていることに気付いた。
翔に振られたばかりの時よりも、翔との楽しかった思い出を思い出してもそこまで胸が苦しくない。
ちょっと、ギュッとはなるけれど。
全然違う。
「でもっ」
ちょうど私の花火が消えて、声を出した。



