せっかく唯十くんが話しかけてくれてるんだ、早く答えないと。
花火大会には行った。
去年。
……翔と。
「……い、行きました」
そう答えたタイミングで、唯十くんの花火に火が灯って光出すから少しは距離が離れるかと思ったのに。
唯十くんは肩を触れさせたまま話し続けた。
「いいな〜。友達と?もしかして浴衣とか着た?」
『純恋ちゃんの浴衣姿、可愛いんだろうなあ』なんて唯十くんが言うからまた顔が熱くなって。
「えっと……幼なじみ、と。浴衣は着てないです……」
『友達と行った』とサラッと当たり障りなく言えばよかったことなのに。
つい正直に口から勝手に出てきてしまった。
幼なじみと言えば、それが私を振った相手だとわかってしまうことなのに。
翔は友達ではない。
幼なじみ以上になりたかったけどなれなかった特別な相手。



