千景くんは魔法使い



え、ど、どういうこと?

頭にたくさんのハテナマークが浮かんでいたけれど、先生に直しなさいと言われて、私は25番の席に名前を書き込んだ。

その隣にはしっかりと〝小野寺〟と、千景くんの名前も書かれてある。

「えー!!千景くんの隣が遠山さん?」

「ズルい!いいなー!」

女子たちは残念そうに声を上げていた。

私はチラッと千景くんのことを見る。千景くんは机に頬杖をついて、また意地悪な顔をしていた。

ひょっとして千景くん……魔法を使ったの?

みんながいる前では確かめることもできずに、そのあとすべてのくじが引き終わると、新しい席へと机の移動が始まった。

千景くんはすでに窓際の一番後ろの席にいた。私もその隣へと机を運んで席に着く。

同じ教室、同じ机なのに、隣に千景くんがいるだけで私の視界に映るものがすべて違って見えてくる。

私はカバンからノートを取り出してシャーペンを走らせた。

〝魔法を使った?〟

それを千景くんにだけ見えるように広げると、千景くんは少しだけ口角を上げた。

「さあ、どうかな」

千景くんは教えてくれなかったけれど、私には使ったんだってわかった。

今日から千景くんが、隣の席。

しばらく私はドキドキしすぎて、授業に集中できないかもしれない……。