千景くんは魔法使い




『ごめん。遅くなって。今平気?』

その夜。千景くんから十時頃に電話がかかってきた。

「うん。大丈夫だよ。練習お疲れさま」

千景くんはまだレギュラーにはなっていないけれど、真田くんと同じで将来を期待されている生徒なので、かなり厳しい練習をしていると聞いている。

毎日クタクタのはずなのに、こうして寝る前には必ず電話をくれることが日課になっていた。


『今日の晩ごはんなんだった?』

「うちはね、お好み焼きだったよ」

『いいな。俺もまた花奈のお母さんのお好み焼き食べたい』

付き合うようになって、千景くんのことはちゃんと両親に紹介した。

ふたりとも千景くんのことをすぐに気に入ってしまい、うちに遊びに来ては晩ごはんを一緒に食べることも珍しくない。

もちろん私も千景くんの家でご飯をいただくこともあるし、今では千景くんのお母さんの連絡先も知っていて、メッセージのやり取りをするほど仲良しになった。