千景くんは魔法使い



学校からの帰り道。私は通学路をとぼとぼとひとりで帰っていた。

川が流れている土手には、シロツメクサや菜の花が咲いている。

可愛いな。これで王冠作れるかな?と、私はしゃがみこんでシロツメクサを見る。

と、その時。川のほうから「ニャアア」という鳴き声がした。それは明らかに仔猫の鳴き声で、私は辺りを見渡す。 

「ニャアア」

瞳に映ったのは、段ボールに入れられている猫が川に流されている光景だった。

た、大変……っ!

私は追いかけるようにして走り出す。

穏やかに見えていた川も下流に近づくにつれて、どんどん流されていくスピードが速くなっていた。

「ニャア、ニャアア」

黒い仔猫は段ボールから顔を出して鳴き続けている。

「い、今、助けるから待ってて……っ!」

息を切らせながら追いかけても、追いつけない。むしろ猫との距離はどんどん離れてしまっている。