千景くんは魔法使い



ま、待って。私、泳げない。

それにここけっこう深いかも……あ。

ジタバタとしてるうちに足がつってしまい、私はそのまま溺れてしまった。

沈んでいく自分の体。重力に逆らうように水中で浮いている髪の毛。

ブクブクと口から出ている空気はまるでシャボン玉のようで。水面で反射してる太陽が光のカーテンみたいに揺れている。

息ができない。

意識が徐々に遠退いていく。

なんでこんなことになっちゃったのかな……。

私はただ千景くんと前みたいに話したいだけなのに、上手くいかない。

このまま元通りになれなかったらどうしよう。

もう二度と千景くんが私のことを見てくれなかったらどうしよう。

私は私は……っ。

「――花奈!!」

そんな声に、バシャンッと私は水面に引き上げられた。

私の体を力強く支えてくれてるのは、千景くんだった。