「この前も言っていたよね!誰?」

千晶と浩ちゃんも知ってるっぽいし、
私だけ知らないなんて不公平だ!

「いやごめん、無理。
さすがに大地もプライドがあるしー。」

「石井ー」

千晶が先生に呼ばれて行ってしまった。
その間に

「浩ちゃん」

肩にポンと手を置いた。

「わ、福ちゃんどうしたの?」
笑いながらごまかそうとしてくるけど…
甘い!
そんなのでは私はごまかされないぞ!

「美音ちゃんでしょ。」

「うん…」意外とあっさり認めた。

「やっぱ美音はオレみたいなEで
漫画アニメパソコン大好きオタクより
桜沢くんみたいなAの完璧男子の方が
好きだよね。」

「そんなことない。」

だって、
美音ちゃんも浩ちゃんのこと好きだし。

それは言えないけど。
(内緒にしてってお願いされたし…)

「福ちゃんはそう言ってくれるけどさ…
一般的にそうじゃん。」

結局浩ちゃんは放課後まで結構悩んでいた。

千晶や大地にも相談してみたけど、

大地の答えは

「まあそうじゃね?
人によって差異はあるけど」

千晶に至っては、

「それはない!」

と否定したまでは良かったものの…

「美音ちゃんも浩輝のこと…」

秘密をバラしそうになったから
慌てて口を塞いだ。

その日の放課後、
次の練習試合のスタメンが発表になった。

「最後は1年から福原」

なんと!新たなスタメンになったのです!

「よろしくお願いします!」

頭を下げるとみんな
「がんばれ」
と応援してくれた。 

次の週末、楽しみだなぁ。

ウキウキしながら外へ出ると 

雨降りそ。

向こうの空は真っ黒で
今にも雨の降りそうな天気。

早く帰ろう。

でも電車を降りると、

うわー。めっちゃ降ってる。
困ったな傘持ってないし…
よし!走って帰ろう。

走り出そうとすると

「福原!」

桜沢君の声がして振り返った。