(………)



あぁ…。

今も、褒められてちょっと喜んでしまった自分がいた。

何故か、罪悪感…。



それに、そんなんでいいのか？

俺はこの女に、ひどい仕打ちを受けたんだぞ？

兄貴に乗り替えられるという…。



でも…少し前なら『許せない』ぐらいに思っていたけど。

今は…さほどそうでもない。

吹っ切れたというか。



…でも、だからと言って、それを全部チャラにしてしまうのもどうか。

あの苦しみを無しにしてはいけない。

だ、ダメだ。昔懐かし合っていて、喜んでいたら。




「…相談って、何？」



その昔懐かしモードを振り切るかのように、急に話を振る。

薫も「あっ」と声を上げ、本来の目的を思い出したらしい。



「そ、そうだった。あの…」



…しかし、その相談とやらは。

意外なもので。





「伶士…悪霊に取り憑かれていたって、本当？」

「…へっ？」

「で、お祓いしてもらったって…」



思わず変な声をあげてしまった。

まさか、薫の口からその事が語られるとは思わず。



「な、何で知ってんの？」