…それに。

恋愛の傷の一番の特効薬は、恋愛。

って、言うしな。



なずなのことを想うと、前を向いていられる。

毎日が楽しくて。

明日を信じて、今日も頑張れる。



…いや、毎日楽しい言うほど、話も今はそんなに出来ていないけどな。

だから、おみやげ買ったり、大会のことだったり、あいつに話しかける用事を作るのに、こっちは必死なんだよ。



もっと…話したい。

あの同居していた日々のように。



(………)



やっぱ、いつ会えるか聞くかな…。

今度、日を改めて…。




そんなことを嬉しく思って、明日を楽しみに待つように、胸を高鳴らせて。

俺は、うとうとと暫しの眠りについてしまった。



そして、次に目が醒める時には、すでに目的地は目の前で。

木々の中にそびえ立つ、大きいホテルの姿が見えていた。

近付けば近付くほど、建物を下から見上げるカタチとなり、規模の大きさに圧倒されそうになる。




「…目が醒めましたか?間もなくご到着でございます」