俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~



(沙羅先輩…)



ぽつんと残されたベッドを見つめ、様々な事を思い巡らせる。



あの時の出来事や、今ここで見た沙羅先輩の振る舞い、姿。

あれが最期の姿だと思うと、切なくもあるが。

最後に見たあの謎の行動が最後だと思うと、沙羅先輩からしたら、決して悲しく切ないドナドナ状態ではなく、大奥入りする状況なのか?とも思い。

俺としては、何だかしっくりこない、不可思議な心情だった。







…それから、窮地を脱したこの場は、程なくして撤収作業に入る。

ヤクザの皆さんは、沙羅先輩の犠牲となった周りに寝転がっている男たちを起こしたり、部屋から連れ出したりと、現場は動きを見せていた。

沙羅先輩のいたベッドも、数人の手によって運び出されている。



動きがないのは…ここにいる一人。



「………」



俺の隣で、俯いたまま立ち尽くしていて、一言も言葉を出さずにいる。

なずなだ。

一命をとりとめ、たいしたケガもなくてよかったが。

精神的にダメージだったのか、顔を見せずずっと俯いたままだった。

俺はその隣にさりげなく居て、周りの撤収作業を眺めている状態。