俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~


魔法陣の中に入ってくる雷帝を…沙羅先輩は、何故か羨望の眼差しで見つめている。

円らでキラキラと輝いた瞳で。



雷帝と目が合うと、浅く頭を下げている。

雷帝にはスルーされていたが。



…その時、何故か思ってしまった。



沙羅先輩。

何か、幸せそうだ…。



それは、まるで。

恋愛に心を踊らす、少女のように。



変なの…これから、死が待ってるのに。




雷帝を出迎えた魔法陣は、再び電光を放つ。

今までにないぐらいの威力だ。

同時に風も巻き起こり、白い光をも放ち、視界が奪われる。






「…バーカ。死ね」



…えっ?!



先ほどのような、穏やかな口調とはまるで正反対の菩提さんのダークな声が聞こえて、ハッと目を開ける。



「ボス、雷帝がいなくなった途端、悪口言うなんて…」

「懐の小さい男だよ。人間相手にムキになるなんて。死ねばいいんだ」



え…菩提さん、そんなキャラだったんですか?



しかし、ようやく視界が開けたその向こうには。

魔法陣も消え去り、沙羅先輩や雷帝の姿はなく。

沙羅先輩が情事で使ったベッドだけが、残されていた。