俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~


雷帝のラリってキマった眼は、菩提さんを捉えていた。

しかし、そんな『圧』を掛けられているにも関わらず、菩提さんは至って普通にいつもの柔らかいオーラを出しているけど。



『おまえ…《冥王》のところの』

「…よく、ご存知ですね。なら話は早い。その娘から手を離して頂けませんか?」

『…何?』

「貴方の目的である取り引きは達成されているはずです。こんなところで油を売らなくても」

『………』



すると、雷帝は。

なずなから手を離した。



スルッと滑り落ちるように、なずなは地に落ちる。

拘束を逃れた途端、ゴホゴホと咳き込んでいた。



命の危機を脱したことに、一瞬であるがホッとする。



『…おまえ、名は何と?』



雷帝は、菩提さんを視界に捉えて尋ねる。

しかし、菩提さんは依然としてその不敵な笑み、表情を崩さない。



「だから、名乗るほどの者ではございません。縁があれば、またお会い出来るかと。…戦場で」

『…フン』



そんなやり取りの後、雷帝は再びマントを翻す。

沙羅先輩や、仲間の鳥人間たちのいる魔法陣へと戻っていった。